王国
奈良原一高
写真家・奈良原一高の写真集。
1958年に東京と大阪の「富士フォトサロン」で開催した個展、また雑誌「中央公論」の特集をはじめ、「映像の現代1」や「朝日ソノラマ写真選書」シリーズでも発表された作品『王国』を収録。
タイトルである『王国』は、フランスの作家・Albert Camus(アルベール・カミュ)が1957年に発表した中篇小説集『追放と王国(原題:Exile and the Kingdom)』に由来している。
早稲田大学大学院で美術史を専攻し、池田満寿夫をはじめとする新鋭画家のグループ「実在者」にも所属しながら美術評論家になることを志していた奈良原は、長崎市沖に浮かぶ石炭採掘のための人工島・端島(通称:軍艦島)と、鹿児島県の桜島噴火により火山灰で埋もれた集落・黒神村の二つの隔絶された場所での光景に衝撃を受けて写真に記録した「緑なき島」と「火の山の麓」の二部構成で1958年に個展『人間の土地』を開催。
この個展が当時の写真業界を中心に大きな反響を呼んだことで、奈良原は美術評論家志望から急転直下に写真家としてデビューを果たした。
本書で収録されている『王国』は、この『人間の土地』から2年後の1958年に開催した2度目の個展で発表された作品。
前作『人間の土地』の構成を踏襲するように、北海道のトラピスト男子修道院が舞台の「沈黙の園」と、和歌山県にある女性刑務所が舞台である「壁の中」の二作を組み合わせる構成手法であるが、奈良原は両施設で人間が抑圧と隔絶の環境下にあるという状況を踏まえた上で、男と女、また収容までの経緯や内情といった差異の表出に着目。
情緒を廃した端正な構図と洞察的な視点を通じて、人間の内面の深層心理へと迫っている。
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2019年,新品,H280mm x W215mm x D25mm,復刊ドットコム,3^製本^ハードカバー208ページ
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